キミと私の好きなヒト
校舎の影の元、深く息をする。
そして空気を震わせた。
「私、三木くんが好きだよ」
優しく笑うところも、いつも周りをよく見ているところも、理加と名前を呼んでくれるところも。
実加と似ていると言ってくれるところも。
「……うん。知ってる」
知ってるって、知ってた。
だから実加は三木くんの手を取らなかったんだから、そう言っていたから。
わたしはどうしようもなく、あの人が、好きで、キミにだって、渡したくなくて。
ああ、それでも私は────キミを嫌いに、なりたくなくて。
そのために距離を置いた、今までずっとそばにいた実加と離れて生きていこうと思った。
でも、それだけじゃだめで。足りなくて。
どうすればいいかなんて決まってたんだ。
「だから、私が三木くんを諦められるように、ふたりで幸せになって」
私はそれでいい。
……それがいいから。