意地悪な片思い
4A~4L。
棚の中央に貼られたシールの文字を確認した私は、早速整理に取り掛かった。
整理を頼まれたファイルの位置は、私たちの部署が比較的使用頻度が高いところであり、度々利用したことがある私にとっても馴染みのものばかりだ。
背表紙を見て、書かれた番号を確認しながら私は一つ一つ抜き差ししていく。
ない番号があれば、資料室の机に置きっぱなしになっているか、他の棚に誰かが間違えて返してしまったか…。
「あっ、あった、14番!」
思ったより早く終わりそうだな。
気が抜けた私は外を確認すると、もうすでに日は暮れようとしていた。
バサバサ―――
「っ。」
その最中に手を滑らせてしまい、 持っていたファイルのバインダーに挿められていなかった資料が一気に床へと広がる。
「やっちゃったー。」
かきわけるそれは20枚ほど。
古いものなのか全体的に黄みがかっている。
あれ?でも。
この資料だけやけに白い。
「やっぱり。」
変な勘が当たってしまった。
予感した通り、それはこのファイルに挿むには相応しくない紙だった。
「もしかして…。」
棚にいれていた先ほど整理したばかりの他のファイルも開いてみると、そこにもところどころに混じってはいけない紙が留められていたりしている。
「う。見なきゃよかった。」
運がいいのか悪いのか、終わりかけていたはずの仕事はまた最初から。
長嶋さんもう帰っちゃったかな。
一応長引くかもですって報告しにいこう。
私はパタンと資料室の扉を閉めた。