意地悪な片思い

 ガチャという音をたて、一番小さな会議室に私たちは入った。一つ大きな白いテーブルが中央に置かれており、8つの椅子がその周りを取り囲んでいる。


「ここでいいかな?」

「はい。」
先に入った速水さんはメモ帳とペンをテーブルの上に置くと、

「飲み物でも持ってこようか、コーヒーでいい?」
 そう言ってうなずいた私を見届け、

「座ってて。」
 一人で出て行った。


残された私。何の音もしない部屋。
テーブルの上の黒いメモ帳とペンが私を見つめてくる。

うーだめだ、何か意識してしまう。
緊張もすごいし。当の速水さんは普通なのに……。

あーもう!

これは仕事、これは仕事。
割り切れ、私!

頬をパチンと私は叩いた。

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