婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
平然としてる辺り、昨夜はやっぱりからかっただけなんだろうけど……樹さんの意地悪が、なんだか今朝はパワーアップしてる気がする……!
朝からあんな色っぽいこと言ったりしたりされたら、私の心臓が一日もたない。


昨日までのいつもつれない樹さんじゃない。
なりふり構わず突っ走ってぶつかるだけだった私に『受けて立つ』と言った樹さん。
『落としてみろよ』なんて言われても、完全に私の方が分が悪い。


『言っとくけど、キスくらいで蕩けてたら、身がもたねーぞ』


「ほ、本当に身がもたないかも……」


床にぺったり座り込んだまま、両頬をギュッと手の平で押さえた。
自分の手が冷たく感じるくらい、頬も耳も熱い。


――って。いやいやいや……!


挑むのは私のはずなのに、どうして私の方が樹さんから逃げ出してるんだろう。
もしかしたらこれも樹さんの作戦とか……?
三ヵ月と言わず、私が逃げ出したらこのお試し同居は終わるし、たぶんきっとこの縁談も水に流される。


「に、逃げない。逃げちゃ、ダメ……!」


パシパシと両手で頬を打って、自分に発破をかける、けれど……。


昨夜から更に進化し続ける樹さんを私はどうやって交わせばいいんだろう。
いや、私に落とせる日なんか来るんだろうか。
< 140 / 236 >

この作品をシェア

pagetop