婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「樹さん……」

「三ヵ月なんて、あっという間に終わるんだよ。仕掛けられないなら、俺を落とすにももっと方法があるだろうが。……帆夏、お前いったい俺となにがしたいんだよ。小学生の仲良しゴッコか?」


軽く前髪を掻き上げ、はあっと息を吐きながらそう言って、樹さんは私に背を向けた。
足を踏み出し、自分の部屋に向かっていく背中を、私は戸惑いながら見つめた。
なにか言いたいのに、なんて言うのが正解かわからず。
私は床についた手を、ただジッと見つめた。


「……気が削がれた。今夜はお前の思惑通り、メシ食って酒飲んで静かに寝てやるよ」

「えっ」

「制裁、する気もなくなったってこと」


ドアに手を掛けながら樹さんが続けた言葉にホッとしながらも、私は閉じたドアで見えなくなるまで樹さんの背を見つめた。


樹さんが呟いた言葉の意味を考える。


小学生の仲良しゴッコなんかじゃない。
私は樹さんと結婚するから。
これから先の一生を彼のそばで過ごすのだから。
だからちゃんと恋をしたくて、幸運にも恋に落ちた。


でも、私と樹さんは、ペースも温度もこれでもかってくらいの差があって、私じゃそれを埋め尽くせない。
私、どうしたらいいの……。


その夜、必死に考えたけれど、なにもかも未熟な私には、はっきりした答えを見つけ出すことが出来なかった。
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