婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
樹さんの視線が、どんどん訝しく……いや、怪しむようにひそめられていく。


ダメだ、どうしよう。
ただデートに誘うというだけなのに、樹さんの唇ばかりに目がいってしまう。


「用がないなら、そこどけ。テレビ見えないし、邪魔」


そんな私をひとしきりジッと観察してから、樹さんははあっと大きな息を吐いた。
そして、身体を軽く横向けながら、虫でも払うみたいにシッシッと手を振り翳す。


「う……」


顔を俯けて短く唸りながらも立ち尽くしたままの私を、樹さんが今度は斜めの角度から見上げてきた。


「なんか変だな。お前、なんかやらかしたの?」


そう静かに上目遣いに見られて、心臓がバクバクと動き出す。
このまま爆走しそうな勢いだけど、樹さんが聞き返してくれた。
そこに勇気を振り絞って、私はシャツの裾をしっかり引っ張りながら、思い切って声を上げた。


「あ、明日っ……! 樹さん、なにか予定ありますか?」

「なんで」

「私とデッ……デートしてくださいっ……!!」


言ったああ~!!と、ホッとすると同時に、胸がドッドッと高鳴り出す。
顔から火が出そうなくらい熱くなるのを感じながら、私は樹さんの返事を待ってぎゅうっと目を閉じた。
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