婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
ところが、定時で仕事を終えて帰り支度をしながら、私は浮かれ過ぎていた自分を後悔する羽目になった。
ポケットに映画のチケットを入れたままにしてたことを思い出した私は、失くしたり落としたりしたら大変!と、今更だけどお財布に入れ替えておこうとした。
パソコンの電源を落としながら、カーディガンのポケットに手を突っ込み……。
「あ、あれ……?」
右だけじゃなく、両方のポケットに両手を突っ込んだ。
何度ごそごそと手を動かしても、小さなチケットが手に触れない。
「えっ……嘘っ……!」
裏地をひっくり返してみてもポケットの中にはなく、私は慌てて机の下を覗き込んだ。
何度見てもその狭いスペースには見つからないのに。
地震の避難訓練でもないのに、床に這いつくばる勢いでしゃがみ込んだ。
ない。……ない。
焦りで心臓がドクドクと警鐘のように打ち鳴り始める。
「なにしてんの? 帆夏ちゃん」
さすがに青木さんが仕事の手を止めて、私を不審げに見下ろしていた。
「い、いえっ……あの……」
「なんか探し物?」
重ねて問い掛けられて、言うのを一瞬躊躇いながらも、私は床に視線を彷徨わせたまま立ち上がった。
「あの。青木さん、この辺に……」
映画のチケット、と言おうとして、結局私は口を噤んだ。
ポケットに映画のチケットを入れたままにしてたことを思い出した私は、失くしたり落としたりしたら大変!と、今更だけどお財布に入れ替えておこうとした。
パソコンの電源を落としながら、カーディガンのポケットに手を突っ込み……。
「あ、あれ……?」
右だけじゃなく、両方のポケットに両手を突っ込んだ。
何度ごそごそと手を動かしても、小さなチケットが手に触れない。
「えっ……嘘っ……!」
裏地をひっくり返してみてもポケットの中にはなく、私は慌てて机の下を覗き込んだ。
何度見てもその狭いスペースには見つからないのに。
地震の避難訓練でもないのに、床に這いつくばる勢いでしゃがみ込んだ。
ない。……ない。
焦りで心臓がドクドクと警鐘のように打ち鳴り始める。
「なにしてんの? 帆夏ちゃん」
さすがに青木さんが仕事の手を止めて、私を不審げに見下ろしていた。
「い、いえっ……あの……」
「なんか探し物?」
重ねて問い掛けられて、言うのを一瞬躊躇いながらも、私は床に視線を彷徨わせたまま立ち上がった。
「あの。青木さん、この辺に……」
映画のチケット、と言おうとして、結局私は口を噤んだ。