婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「や、やだっ……! 樹さんっ……」
思いの外強い力で後ろに引かれて、私は身体のバランスを崩しながら樹さんを振り返った。
「どうしてわかってくれないの!? 私は本当に樹さんに恋してるんだってばっ……! こんなの嫌だっ……!!」
深雪さんにドア口まで引っ張られて、ジタバタしながら悲鳴のようにそう叫んだ。
なのに樹さんは私に背を向け、ヒラヒラと手を振っただけだった。
社長室から追い出されて、目の前で重いドアが閉まった。
どんなに伝えても伝わらない想いが重過ぎて、私はただ肩を落とした。
あまりのことに、肘を離してもらってもその場から動けない。
「……帆夏さん。春海海運の社員なら、今は大人しく仕事に戻ってください」
あたり前のことを言われてるのはわかってるのに、深雪さんの言葉がとても冷たい氷のように感じて、私は顔を上げることが出来ない。
彼女は小さくフッと息を漏らし、そんな私の肩に手をのせた。
「大丈夫。悪い様にはなりませんから」
無理矢理気持ちを引っ張り上げるような深雪さんの言葉。
私はそっと顔を上げて、ドアの前に立ち尽くしたまま深雪さんの横顔を見やった。
その先の言葉を聞きたかったのに、深雪さんは焦らすように柔らかい微笑みを浮かべただけ。
私が聞きたい答えは飲み込んだまま背を向け、隣の続き間のドアの向こうに戻って行ってしまった。
思いの外強い力で後ろに引かれて、私は身体のバランスを崩しながら樹さんを振り返った。
「どうしてわかってくれないの!? 私は本当に樹さんに恋してるんだってばっ……! こんなの嫌だっ……!!」
深雪さんにドア口まで引っ張られて、ジタバタしながら悲鳴のようにそう叫んだ。
なのに樹さんは私に背を向け、ヒラヒラと手を振っただけだった。
社長室から追い出されて、目の前で重いドアが閉まった。
どんなに伝えても伝わらない想いが重過ぎて、私はただ肩を落とした。
あまりのことに、肘を離してもらってもその場から動けない。
「……帆夏さん。春海海運の社員なら、今は大人しく仕事に戻ってください」
あたり前のことを言われてるのはわかってるのに、深雪さんの言葉がとても冷たい氷のように感じて、私は顔を上げることが出来ない。
彼女は小さくフッと息を漏らし、そんな私の肩に手をのせた。
「大丈夫。悪い様にはなりませんから」
無理矢理気持ちを引っ張り上げるような深雪さんの言葉。
私はそっと顔を上げて、ドアの前に立ち尽くしたまま深雪さんの横顔を見やった。
その先の言葉を聞きたかったのに、深雪さんは焦らすように柔らかい微笑みを浮かべただけ。
私が聞きたい答えは飲み込んだまま背を向け、隣の続き間のドアの向こうに戻って行ってしまった。