婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
事業発表会は豪華客船クルーズツアーに関するもので、プレス報道も兼ねていた。
視覚的なアピールの為か、実際に使用される豪華大型客船に会場が準備されていた。
ツアー就航時には乗客の娯楽の場となる広いパーティー会場に、受付を済ませた招待客が吸い寄せられるように姿を現す。


招待客は経済・産業界の名だたる重鎮。
そして春海海運の取引先企業のトップに、政界のドンまで名を連ねている。
さすがに海運業界第一位の春海海運の主催となると、気後れしそうなくらい豪華絢爛だ。


海外の社交界のようにパートナー同伴が義務付けられていないとは言え、華やかな服装の女性をエスコートする男性の姿が目立つ。
上品で高貴なカップルたちが、会場のあちこちで立ち止まって挨拶を交わす様子は、眺めてるだけでも圧巻だった。


ある程度こういう場にも慣れてはいるけど、隣に父も母もいない状況は初めてだった。
深雪さんも私をあっさりその場に置いて、社長秘書としての任務に戻ってしまった。


社長が今夜のホストだし、もちろん忙しいんだろうけど……。
発表会開始前の会場に、樹さんの姿も見つからない。
私はソワソワしながら、出来るだけ隅っこの壁の方に身を寄せた。


広い会場は徐々に招待客でいっぱいになり、視界を人垣に遮られるほどになっていく。
さすがに心細くなってきた時、会場の奥に設置された演壇に、いろんなテレビ番組で見る有名な男性フリーアナウンサーが姿を現した。
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