婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
「婚約発表してからの半年……結婚式の準備やらなんやらに追われて、悠長に帆夏と恋してる暇もなかったよな。おかげで俺は、今でもイマイチよくわからない」

「……樹さん……?」

「帆夏は俺のこと相変わらずバカの一つ覚えみたいに、好きだって言ってくれるけど、俺の気持ちはそれと同じか? ……なんか違う気がして、ずっと考えてたんだけど……今感じてる気持ちで間違いないと思うから」


ちょっと早口で言い切って、樹さんは一度短く息を吐いた。


「俺、今、帆夏のことすげー愛おしいって思ってる」


ドキン……と、私の鼓動が一度ゆっくり大きく鳴った。


「……大事だって思ってる」


静かに繰り返された、私の胸を貫く、なによりもまっすぐで純粋な言葉――。


いつも樹さんに感じる胸の高鳴りとは違う。
ときめいてるのに穏やかな動きで、なんだかとても心地いい。
ゆっくり無理なく速度を上げる鼓動がとても優しい。
追い付こうと焦らなくてもついて行ける、そんな感覚が嬉しくて、私は樹さんに微笑みながら涙を浮かべた。


「……ありがとう、樹さん。嬉しい……十分です」


樹さんはどこかホッとしたように息をついて、ベッドに手をつき身体を起こした。
私を腕の中に囲いながら、ジッと見下ろしてくる。


「樹さん、好き……大好きです」


そんな想いを返したくて、私は今まで何度も彼に告げた言葉を伝えた。
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