婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
私の胸の鼓動は完全にオーバーヒートして、ドクドクドクドク……とものすごい速度で打ち鳴り始めた。


「言わなきゃわかんないの? 俺とお前がセックスするの、指咥えて待ってるんだよ。それこそ、壁に耳当てて毎晩張るくらいの勢いで」

「っ……!!」


妖しく低めた声で、耳元に囁かれる。
しかも意図的にねっとりと言った上に、樹さんは私の両膝の間に自分の膝で割り込ませた。
そのまま、太腿でグッと押さえ付けられ……。


「んっ……!!」


一瞬、全身がビクッと大きく震えた。
目も唇もギュッと強く閉じたのに、そんな声が漏れてしまう。


そして、その途端。


「……って、誰がそんな思惑通りに動いてやるもんか」

「っ!?」


心臓が壊れそうだと思う寸前で、樹さんは興が醒めたようにシレッと言い放ち、あっさりと私の身体から離れた。
全身の血管が脈動しているのを感じながら、私は呆気なく向けられたその背を見つめ、へなへなとその場にしゃがみ込んでしまう。


「い、いつ……」


それでも呆然としたまま、無意識で彼の名前を呼んでいた。
樹さんはリビングのドアハンドルに手を掛けると、チラッと上体だけで私を振り返った。
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