婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
お金じゃ買えない物は願ってもどうしようもないし、私は最初から諦めて、現状で満足するタイプだ。
つまり……基本いつも向上心とか闘争心というものとは無縁だった。


そこが、樹さんとはわかりやすく違うらしい。


『春海君に、喉から手が出るほど欲しいって思わせる女になるのは、正直帆夏ちゃんじゃ今更無理だと思うけど。今までのイノシシっぷりを逆手にとって、纏わりつかれないと物足りないって思わせることは可能だと思うのよ』


つまり。


当たり前に自分の物だと思ってた物が、あっさり手から零れ落ちたら――。
地面に落ちる前に咄嗟に手を伸ばして取り戻すか、地面に落ちても腰を屈めて拾おうとするか……。
それとも、捨て置いて通り過ぎるか。


青木さんは、そこが私の勝負所だと言って胸を張った。


『全面的に自分に服従してると思ってる女が、あっさり他の男に目移りしたら。ああいうタイプの男は、そりゃあ面白くないでしょうよ。さすがに取り戻そうとするんじゃないかな~?』


――と、言うわけで。
私は今、スーツ姿の、なんだかキラッキラな数人の男性を前に、腰を引かせていた。


『え~。なに? 君、生駒社長の次女さんなの? へえ~。なんでわざわざ働いてんの? っていうか、なんで合コンで男漁り?』
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