婚前同居~イジワル御曹司とひとつ屋根の下~
合コンを途中で抜けたせいで、私がマンションに帰り着いた時、時間はまだ午後九時を過ぎたところだった。
昨日一方的に決められたルール通り先にお風呂を済ませて、無駄に時間を持て余し……。
午後十時半。
樹さんが帰ってきた時、私は缶ビールを三本空け、リビングのソファで酔っ払っていた。


「おっかえりなさ~い!」と、ヘラヘラ笑いながら両手を広げた私に、樹さんは底冷えするような冷たい視線を向けた。
ものすごく嫌そうな顔で私を大きく回り込み、カバンをフローリングの床に直に置くと、はあっと大きな息を吐く。


「合コンだったんじゃないのか? 嫌に早くね? ……それに何本飲んでんだよ。あ。おい、そんなことより風邪、治ったのか?」


そう言って私の前で背を屈め、潰した空の缶を手に取った。
その横顔に、私はちょっとぼんやりしながら目を向けて。


「樹さんも。早かったじゃないですか」


ちょっと怪しい呂律で、そう返した。


きっと私の声には、自分で意識しなくても棘が籠っていたんだと思う。
樹さんは中途半端な姿勢で止まってから、「は?」と短く聞き返してきた。


「……女の人と一緒にいるの、見ちゃいました」
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