恋愛の始め方
「いつでも、どこでも医師なんだね」


自然と溢れた言葉は、まるで自分を否定する言葉だった。

あたしは、もう医師じゃない。

裁判が終わり、医師業務停止が終わったところで、あたしは昔のようにテキパキと処置を行える医師には戻れない気がする。

医師として現場を離れ、早半年。

そのブランクは、きっと大きいだろう。


「これでも、一応医師なんで」

「間宮先生みたいな人が、きっと医師になるべき人なんでしょうね」


あたしみたいな不純な人間じゃなく、自分の信念を貫けるような人間が。


「意味わかんねぇことばっか言ってねぇで、寝ろ」


優しく、間宮はあたしの頭を撫でてくれた。

それがとても心地良くて、気付けば夢の世界に居た。

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