恋愛の始め方
足早にスタッフルームに向かっていた時。


「久しぶり、伊藤ちゃん」


笑顔で手を上げ、風間はあたしに声を掛けて来た。

あたしは、心の中で盛大なため息をつく。


「上がり?」

「お疲れ様でした」


他人行儀な挨拶をし、風間のことをスルーしようとした。

だが、風間はそんなあたしの腕を掴んだ。


「俺さ~、今日当直なの」


だから、何?

これっぽっちも、あたしには関係ないです。


「頑張ってください」

「伊藤ちゃん、冷たいなぁ。それじゃ、頑張れないなぁ」


頑張るも何も、仕事なんだからちゃんと務めてなさいよ。

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