恋愛の始め方
あたしの返答を聞き、かなは怪しい笑みを浮かべた。


「志乃さぁ」

「な、何よ。気持ち悪い」

「今日、付き合いなさいよ」


あたしの首に手を回し、強引に誘う。

これは、逃げられない。

付き合いが長い分、かなの性格は熟知している。

だからあたしは、諦めることにした。

それから追われるように仕事をし、気付けば定時。

不覚にも、急患が来ないかと期待してしまう。


「赤石さん、伊藤さん。遅番の人も来たし、上がって」


師長が、あたしとかなに声を掛けた。

上機嫌なかなとは裏腹に、あたしは心の中で小さなため息を零した。

スタッフルームで着替えを済ませ、2人で病院を出る。

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