恋愛の始め方
お父さんの存在が大き過ぎて、変にプレッシャーなんか感じてる。

でも、大丈夫。

あたしは、あたしの意志でこの場を選んだ。

だから、見ててね?お父さん。

あたしは、長年お父さんが愛用していた机をそっと撫でた。

瞳を閉じたら、そこにお父さんの姿が感じられる。

ここで、いつも仕事をしていたお父さん。

優しく微笑み、患者1人1人の言葉に親身になって耳を傾けていた。


「お父さん」


ここには居ない、お父さんに呼びかける。

もちろん、返事はない。

だけど、もう哀しくなんてない。

少し、淋しいけど・・・

あたしは、小さな笑みを浮かべる。


「ただいま」


最後に一言言い捨て、その場を後にした。

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