恋愛の始め方
万が一に備え、滅多にお酒を飲むことは許されない。

アルコールが入った医師や看護師に、適切な処置が出来るわけない。

この町に越してきてから、あたしはお父さんがお酒を飲んでる姿なんて1度も見たこと無い。


「戻りたい?」

「酒が飲めないからって死ぬわけじゃないし、そんなことで戻りたいなんて言ってたら、大輔置いてこっちになんて来ないよ」


かなはかななりに、腹を括って一緒に来てくれたんだ。


「ありがとう、かな」

「何よ、急に」

「ううん。ただ、言いたくなっただけ」

「あのさ、志乃・・・」


かなは手にしていた缶ビールを飲みほし、ジッとあたしのことを見る。


「良かったの?」


良かった?

何が?

あたしはかなの言葉の意味が分からず、首を傾げた。

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