恋愛の始め方
そんなあたしの頭を、かなは優しく撫でた。


「志乃・・・」


震えた声で、かながあたしの名を呼ぶ。


「なんで、かなが泣くのよ」

「だって・・・、志乃が泣かないから」


どんな、言い訳だよ。

あたしのことなのに、かなが泣くから泣きたくなるじゃん。

そして2人で、一頻り泣いた。


「志乃。好きな気持ちは、無理に消さなくても良いんだよ」

「え?」

「誰かを愛した分、誰かに愛される権利が人にはあるからさ。苦しいのも、辛いのも、きっと次の幸せに向かうための試練なんだよ。だから今は、いっぱい泣いて良いんだよ。沢山、嘆いても良いだよ。明日、いっぱい笑うためにも」


かなの言葉に、あたしは素直に泣いた。

明日、心から笑えるように・・・

< 326 / 404 >

この作品をシェア

pagetop