恋愛の始め方
意識もちゃんとしてるし、記憶もある。

あたしはホッとし、安堵のため息を漏らした。

スタッフたちは、あたしとお母さんに気を利かせ、静かに病室を後にした。

あたしは近くにあった椅子へと腰を下ろし、そっとお母さんの手を握る。


「ありがとう、お母さん」


お母さんは、小さく首を傾げる。


「目を覚ましてくれて、ありがとう」


そしてあたしは、今までの経緯をゆっくり、分かりやすく説明する。


「そう、だったの。直哉と志乃には、感謝しなきゃね」


感謝なんて、いらないよ。

だって直哉とあたし医師として、当たり前のことをしただけだ。

むしろ感謝するのは、あたし達の方だ。

お母さんが目を覚まし、自分たちがしたことご間違えじゃなかったと確認できた。

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