恋愛の始め方
「そうそう、今日ね?直哉の結婚式なんだよ」


お母さんは驚いたように、瞳を小さく見開く。


「だから今すぐは来れないけど、お母さんが目を覚ましたって教えたら、明日にでも飛んでくるよ」

「そう。いいの?志乃は」

「え?」

「結婚式」


あ!そうだ、ヤバッ!

あたしは、腕時計で時間を確認する。

もう、式始まってるし。

病院から式場まで、車で40分も掛かる。

ギリギリ、間に合うだろうか?


「行きなさい」

「あ・・・うん」


あたしは、ゆっくりと立ち上がる。


「志乃」

「うん?」

「来てくれて、ありがとう。またね」


他愛もない、お母さんの言葉。

だけど、あたしにとっては特別な言葉だった。

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