冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
仕方ないなと通話ボタンを押そうとしたら、携帯をまた社長に取り上げられ、今度はベッドに放り投げられた。


幸い、落ちたりとかはしていないので、携帯は無傷だけれど、振動は相変わらず。すると社長は、立ち上がり、そのベッドの上の携帯を手に取ると電源ボタンを押して、携帯自体を切ってしまった。


「あ、あの、すみません。うるさくて、迷惑でしたよね。彼は、私の・・・」


「・・・今日からみぃの『リョウ』は俺だけでいい。同じ名前かもしれないけれど、みぃが俺以外のやつを『リョウ』って呼ぶのはすごく嫌な気分がする」


社長は私の両肩を押さえつけ、そんなセリフをサラリと放つ。当然、私の頭の中はパニック状態。な、何を言っているんだろう、社長は。


「みぃにはこんな傷を作ってしまって本当に悪いと思う。その償いはする。でも俺はそれ以上にみぃとこんな風に再会できて本当に嬉しいんだ。だからこれからはその気持ちを常に形に表していくことにする。社長とは真逆な俺の本当の姿で」


再会?私と社長はどこかで会ったことがあるということ?全然思い出せないしわからない。こんなに素敵な人なら、必ず覚えているはず。もしかして誰かと勘違いしているのかもしれない。



「みぃ、お前は俺の救世主なんだ」
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