冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
「・・・君の大切な幼馴染を事故に遭わせたこと、本当にすまなかった。でも、責任や償いで彼女と一緒にいるわけではない。もちろん情でもない。俺が彼女と一緒にいたいんだ。大切なんだ、みぃのことが」


「・・・それは、どういう意味で大切なんだ？」


「少なくとも君に牽制するくらいは大切だ。誰にも渡したくない。それと一週間じゃない。俺はもっと前からみぃのことを知っていた。そんな簡単な気持ちではないから俺を信じてほしい」


もっと前から私のことを知っていた？いつ、私は社長に会ったのだろう？


問いかけを投げかけるように目配せをすると優しい笑みが返ってきた。そんな私たちを見てか涼も「わかったよ」と言って、立ち上がり大きく社長に頭を下げた。

。

「深月のこと、よろしくお願いします。俺の大切な幼馴染なんで、泣かせないでください。いつかあなたが本当にお義兄さんになってくれると期待して、深月をあなたに託します」



涼の言葉に泣きそうになった。恋にはならなかったけれど、涼は私の大切な幼馴染。



一香と赤ちゃんと幸せな家庭を築いていってほしい。帰り際、私は涼の背中を見送りながらそんなことを思った。
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