冷徹社長の秘密〜彼が社長を脱いだなら〜
店舗も装飾などは全てビルサイドがやってくれるので私たちはその店舗で普段通りの接客をする。

そして、仕事終わりその話を社長に話すと「そうか、頑張れよ」とやっぱり何も知らない言い方だった。


翌週、私とみゆちゃんは期間限定ショップの打ち合わせをするためにEMISIAに向かっていた。中西みゆちゃんは今年、異動してきたばかりの一つ下の女の子。学生時代、ジョルフェムでアルバイトをしていて今年、新卒で正社員になったので私よりも経験値は高い。

それなのに、私を「深月さん」と呼んで、敬語まで使ってくれる。むしろ、私の方がまだ入ったばかりなのに、ここでは先輩だからと立ててくれるしっかり者。


入ってきたときは、芸能人が入ってきたのかと思うほどの可愛さに驚いた。華奢な身体と大きな目、ショートカットがよく似合っていて、私が男なら間違いなく好きになるタイプの顔。


挙句十歳上の彼氏がいるらしい。三宅さんがいなくなっても働き者の彼女がいるならまだ心強いなと思っていた。


EMISIAに着き、会議室に通されて、今回の期間限定ショップについての説明を受けた。去年はアットホームな感じだったのに、今年は担当さんが変わったのか淡々とした説明のみ。


更に店舗の場所を説明されて驚いた。去年は真ん中の一番目立つ場所だったのに、今年は一番奥のあまり目立たない場所。

「何で私たちがこんな一番奥の場所なんですか!」


あまりにも酷い扱いについ、苛立ち大声を上げると、冷めた声で担当さんは私たちに言い切った。
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