アンフィニッシュト・ブルー(旧題 後宮)

「ミハイル……」

私はバカだ。

彼の抱える一番深い暗く冷たい場所には結局気がつかないまま彼を捨ててしまった。

彼が本当に望んでいたのは、カガン国民でも彼の臣民でもなんでもないただの「私」だ。
いったんは乾いたはずの涙がまた一筋、私の頬を伝ってカウンターの上に落ちた。




< 274 / 298 >

この作品をシェア

pagetop