もしも、もしも、ね。
「え?何か駄目だった?」
「だってここまできたら暁里も「城ヶ崎さん。」・・・・・・え?」
丸尾君(基望果)の言葉を遮る。
固まる彼女に、私はもう一度自分の役名を笑顔で伝えた。
「城ヶ崎さん。」と。
そう、クルクルのクロワッサンを頭の両脇にリボンで括ったあのお嬢様である。
「そう来たか・・・ッ!!」
「丸尾君、口調変わってるよ?」
「ハッ!ズ、ズバリ騙されたでしょー!」
この年になってまさかのちびまる子ちゃんごっこ。
そんなものやってられるか・・・というわけで、大してやっても支障をきたさないキャラをチョイス。
別にとし子ちゃんや笹山さんでも良かった。
ただ山田やら野口さんやらはまじやらブー太郎やら、濃いキャラクターを回避したかっただけ。
「喧嘩なんてしてないわよ。
私がびっくりして、藤木(卑怯者)の手を払っちゃっただけだから。」
「疑ってごめんよ、ベイビー。・・・っていうか、これいつまで持続?」
「え?花輪君なんか言ったぁ?」
はぁ、とため息をついた准君に笑顔を見せる。
「なんでもないよ。」と引きつった笑みを見せた花輪君(基准君)に「そ」と私も微笑む。
私の頭を軽々しく触ったユウ、准君と付き合ってることを黙ってた望果、・・・准君に恨みはないけど。
とりあえず、イライラのたまった私。
しばらくは、その恥ずかしいちびまる子ちゃんキャラクターを持続してもらうことにしよう。
目だった特徴のない脇役。
主導権は、私だ。