もしも、もしも、ね。

*3*



―――けれど、その気持ちとは裏腹に、時間は刻々と過ぎていたようで。



「暁里、どこ行ってたのよ!」



腫れた目を、濡らしたタオルでなんとか誤魔化せる程度にまで冷ます。

それから教室に戻ると、なんだか人だかりが出来ていた。

3人で顔を見合わせて頭にクエスチョンマークを浮かべていると、

ドアから飛び出してきたキャバのお姉ちゃん・・・基、みぃにすごい勢いで掴まれる。

何か怒られることしたっけ?

と考えて、

もしかして手伝って貰ったのに手伝いし返してないことだろうか。

なんて結論に至る。

だってそれしか思い浮かばない。



「みぃ、えーっとごめんね?」

「はぁ?ごめんねって何が。」



その言葉に私の結論を答えると「馬鹿―!」なんて思い切り怒鳴られた。

う、うるさいなぁ。近くで喋らないでよ。

顔を歪めたけれど、私はその次の言葉に更に固まることになる。



「アンタ、裕哉と別れたってホント!!?」



―――噂って言うのは怖い。

だって、あんなに人目に付かないところでほんの1時間ほど前に交わされた会話だったのに。

通りでこの学校の人間がちらちらと私を見て噂話をしていたわけだ。

はぁ、とため息をついて答える。



「うん。まぁ。」



その言葉は私の胸に針を刺したようなチクリとした痛みを伴った。

けれどナイフを突き立てるようなグサリとした感覚はなくて、

きっとこれも望果と准君のおかげなのだろうと思う。

これを答えればみぃは静かになるかと思ったのに、

彼女は「うっそ!」なんて言いつつ掴んだ私の肩を離すことなく、

そして、

なんとも言えない爆弾発言をしてくれた。





「じゃぁ、1年の“エリナ”とかいう女と付き合ってるっていうのは!!?」


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