もしも、もしも、ね。



「味はまぁまぁ合格かな。

男の子にあげるんなら、これくらい甘くなくてもいいのかも。」



私は顔を上げた。

男の子なんて言ってないのに・・・。

きょとんとする私の顔を見て、全部分かってるわよ、とでも言うように優しくお母さんは微笑んだ。



「貴方を見てれば分かるわ。

久しぶりの恋じゃない。お母さんだって応援するわよ。」



見た目はびっしりキャリアウーマンのお母さんだけど、眼鏡の奥は優しくて。

私は「うん!」とガッツポーズをした。



「お母さんが教えてあげるわよ。

でも、その前にお夕飯作ろうか。」

「はーい!」

「お母さんが手洗いうがいしてる間に、台所綺麗にしなさいよ。」

「はーいッ!」



ありがとう、お母さん。


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