クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 バタンに続いて、ドタドタとうるさくなって、それはどんどん近づいてくる。

 誰かが勝手に部屋に入り、こちらに向かってきたと理解したと同時に、布団の温もりが室内に漏れていくのを感じた。



「静かにして。誰かが来ても、俺はいないことにして」

 俺、と名乗るその声に聴き覚えがある。
 あと少し遅かったら、変質者と勘違いして大声を出していたかもしれない。



「もうちょっと、こっち来て」

 白地に紺の浴衣は、お世辞にもおしゃれとは言えないけれど、雰囲気を盛り上げるにはこれ以上のものはない。


「あのっ」

 戸惑いを口にすれば、腰に回された手で強制的に引かれ、声を出さぬようにともう一方の人差し指で制された。



 どうして、こんなことになっているのか。
 山間の秘湯へ社員旅行に来ただけなのに……。



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