クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
「そろそろお帰りくださいね」
ノックもなく開いたフロアのドアから巡回の警備員が顔を覗かせ、強制的に帰宅を促された。
壁時計は22時前を差している。
取り掛かろうとしたものの、ろくに作業しなかった資料をしまい、パソコンの電源を落とした。
休憩室のゴミ箱にペットボトルを捨てれば、部長に知られてしまったあの日がよみがえる。
あの時、私は必死に隠そうとしたけれど、部長はもっと前から気づいてたんだもんね。
私の片想いにも、気づいてくれたっていいのに……部長は本当に意地悪だ。
「よかった、まだいた」
通路の途中にある非常階段の前を通りかかった時、予期せぬ方向から聞こえた声に息を潜めて振り返る。
「名前、あったから。まだいるんじゃないかと思って」
スーツケースを持った柏原さんが、非常階段のドアに寄りかかって私を見つめていた。