クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ

 鎖骨を撫でられ、身体の曲線に沿って彼の手が降りていく。
 キスに混じった吐息は、あっという間にどちらのものでもなくなって、絡む視線に彼の新しい熱を見た。


「…………なんて、冗談。ちゃんと、また今度ね」

 私の目にも火が移って、身体が火照っている。
 それなのに、彼はあっさり降りた。


「泣くくらいなら、無理にシようなんて思ってないから」

 優しさに、噛みつきたくなる。
 強引でも何でもいいから、貫いてほしかったのに。


 甘えるつもりで彼の背に抱きつけば、彼は自分の想いに安心した私だと勘違いする。
 いつか覚えた誘う目つきで見上げても、甘えは構ってほしいサインと映る。


「そんな欲しそうな顔しないの」


 こういう時、どうしたらいいのか。


 私は、その術を知らない。

 彼を欲しいと思っている想いがどうしたら伝わるのか。



 すれ違った感情は、どの夜なら混じり合うのかすら知らないのに、今夜をこのまま手放せない。


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