クールな上司とトキメキ新婚!?ライフ
もしかしたら泊まっていくつもりだったのかもしれないと思ったのは、見送った玄関で見た彼のバッグの中のネクタイを見たから。
彼が帰ってしまったら、途端に色褪せる。
私の日常なんて何てことなくて、この世のどこにでも転がってて、だけど誰にも負けないくらい彼のことばかりを想って息をして、そんな毎日がかけがえのない時間になって……。
「もっと、一緒にいたかったな」
不意の訪問は、残り香と温もりの記憶ばかりをむやみに植え付けた。灯された熱は冷えきって、その代わりに寂しさと切なさが顔を出す。
だから、嫌なのよ。
気持ちのままにもっと愛し合って彼を知りたいのに、“未経験”が邪魔をする。