【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
そうして、彼は、
私を腕の中に抱いて、緩やかに私を彼色に染める。
それはなんだか、私にとってすごく自然なことで、
ずっと、私は彼にそうして欲しかったんだと思った。

きっと、最初に目が会った瞬間から、
彼が初めて私に名前を名乗ったあの深い声を聞いた時から、
初めて彼の前で泣いた日から、
その腕の中で慰めてもらった時から、
愛おしげに彼女の名前を呼ぶ彼の姿を知ってからも……。
ふとした時に、優しい瞳をして私を見てくれる時も、
切ない顔をして、視線を逸らす時も。

私を助けに来てくれた彼の強くて優しい腕も、

何も言ってくれないくせに、
私の気持ちを引っ張り続けるズルイ彼も、

私の気持ちを知ってて
私にキスをした彼の弱さも、

それから、
自分の信念のために、
自分を最後まで律した彼の強さも。
(それに最後で、ちょっと失敗したところも……)

きっと、
かっこいいところも、情けないところも、
ズルイ所も、優しいところも、全部私は丸ごと彼が好きなんだ。

「ねえ……拓海?」
そう私が彼の緩やかな愛撫に身を震わせながら囁く。
「……なんだ?」
小さく笑みを浮かべて彼が聞き返す。

「あのね、私、
拓海の全部が好き。
強いところも、優しいところも、
ズルイところも、弱いところも……

……貴方を作っているすべてが好き……」
指先を伸ばして、そっと彼にキスをする。


「……やっぱり……」
彼が一瞬言葉を失ってから、ふっと笑う。
「……覚悟しておけよ」
私がその言葉に思わず瞳を見開くと、

「……壊しはしねぇよ、
壊す寸前までは追い込んじまうかもしれねぇけどな?」
そう言って彼は嬉しそうに笑う。
しばらく機嫌良さそうに笑ってから、
私に優しいキスをする。

我儘で、ズルくて、でも強くて優しい、
私のいとおしい恋人が、
私がずっとずっと、
何年も欲しかった、その言葉を、
私がたまらなく好きな、その声で、甘く囁く。


「……随分待たせたけどな
その分これからずっと大事にしたいって、
そう思っているんだぞ。

…………やっぱり、俺はお前が好きだ。
……世界中の誰よりも……」
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