【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
「壊れないから、いいよ……」
そう、佳代の告げた言葉に、一瞬呼吸が止まった。
俺のためらいも、不安も、
あっさりと掻い潜って、
気づけばこうして俺の腕の中に納まっている。
気づけはコイツは最初からそうだったと思う。

「いいって、お前……」
俺の言葉に潤んだ瞳で見つめ返してくる。
その瞳の色だけで男を煽っているなんて、
まるっきり気づいてないんだろう、コイツは。

その無意識の視線に、どれだけ俺は煽られてきたことか。
気づけば、単に妹のような存在だったのを、
そうでないものに変えさせていったのは、
こんな風に何でもないふりをして
俺の心まで覗き込むような、その、魅惑的な視線で。

「……いいよ? 私はもう、
『一生俺のモノ』なんでしょ?
だったら、もう、
今この瞬間から拓海のモノでいいよ……」
一瞬俺の髪に触れて、それからおずおずと、
指先を伸ばして俺のうなじを捕える。

そのまま抱き寄せるようにするから、
俺はつい、また彼女の唇を奪ってしまう。

……止まらねえな、と心の中で呟く。

「……たく、お前は。
煽ったのはお前だからな?」
まあ、どちらにせよ、もう止める気もない……。
奪い尽くしたい本能が俺を誘う。

「怖かったり、不安だったり、
……痛かったりしたら言えよ?」
そっと額にキスを落しながらそう言うと、
彼女は小さく頷く。
それから、小さく笑うから、

「……随分余裕がありそうだな?」
そう言いながら、笑みの浮かぶその唇にキスを落す。
そっと彼女が瞳を閉じて、俺は自らの求めるまま、
キスを深めていく。

おびえることもなく俺の腕の中で、
甘い吐息を漏らすその唇を何度も味わい
唇だけでなく、頬に、額に、耳元にキスを落していく。
徐々に佳代の呼吸の乱れを感じて、
甘いときめきと、ゾクゾクとするような欲を感じる。

わずかに声を漏らし、体を震わせる様子が、
たまらなく色香を帯びて、たまらずぎゅっと抱きしめる。

「……少しは余裕がなくなってきたか?」
一瞬眉を寄せる表情が色っぽくて、
そのまま首筋に唇を走らせると
甘い声を漏らす。そっと唇を撫ぜて、

「……怖くはないか?」
愛撫を深める前に、そう尋ねると、
だから、唇に小さな笑みを浮かべて、彼女が微笑む。

「ん。大丈夫。拓海だから……」
俺のシャツにそっと手を添えて、
彼女はそう答えた。
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