【完】確信犯な彼 ≪番外編公開中≫
切なげに顰めるその表情も声も、
どこの誰にも聞かせてないものだと思うと、
ゾクリとするような自分の独占欲が満足させられる。

……コイツのおかげで、気づいてなかった、
自分の中の独占欲の強さを自覚させられた。

佳代が、誰か別の男と、
笑みを浮かべて話している様子を見ていると、
そんな資格はない、と言い聞かせていても、
たまらないほどの焦燥感がこみあげてくる。

あの瞳が、あの視線が、
他の男のモノになるのが許しがたい。

そんな資格があるとかないとか、
そんなことはすでに関係なくなっていたと思う。

今は自分のモノだ。
と思う一方、すべてを手に入れないと、
おさまりがつかなくなっている自分にも気づく。

緩やかに、彼女にキスを落していく。
そのたびに、彼女の表情は上気していく。

吐息の合間に、何度も俺の名を呼ぶ。
その声がたまらないほどの色香を帯びている。

「ねえ……拓海?」
蕩けるような声で俺の名を呼ぶ。
「……なんだ?」
小さく笑みを浮かべて聞き返すと、

「あのね、私、
拓海の全部が好き。
強いところも、優しいところも、
ズルイところも、弱いところも……

……貴方を作っているすべてが好き……」

そっと指先を伸ばして、俺の頤を捕えキスをする。
その言葉だけで、あっさりと理性も本能も、
彼女に陥落する自分を思い知らされた。

こうやって、精々自分を律しようとしている俺を
あっけなく落し込むんだな。

ふと、あの公園で、互いに酔ったふりをして、
俺の顎にキスをしたアイツを思い出して小さく笑う。

──あれには正直やられた。
その場で捕えて、深くキスをしたくてたまらなくなった。
俺のモノにしたくて、欲しくて、
ひそかに身悶えさせられた。
そんな感情を思い出せば思い出すほど。

「……やっぱり……
……覚悟しておけよ」
その笑みを唇に浮かべたまま、そう告げると、
佳代は、とろんと融けたような瞳をこちらに向ける。

「……壊しはしねぇよ、
壊す寸前までは追い込んじまうかもしれねぇけどな?」
それからそっとその唇にキスをする。

初めての痛みに耐える彼女の表情を確認して、
愛おしさがこみあげてくる。

散々振り回して、
好き放題待たせて、
気持ちを受け入れてやれないのに、
純粋な気持ちを引っ張り続けて、
俺の元から去れない様に、
誘惑し続けて、

結局俺の都合のいい時まで待たせて。
それなのに、恨み言一つ言わずに
こんな苦痛にまで耐えている。
そっとその髪を撫ぜて、額にキスを落す。
気づけばらしくない、甘い言葉が零れ落ちていた。
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