ケダモノ、148円ナリ
「じゃあもう、帰るぞ。
 俺はさっきの店で散々食ったから、もう珈琲も飲みたくない」
と貴継は立ち上がる。

「はい、ありがとうございました」
と立ち上がり、頭を下げると、

「なにを言っている。
 お前も来るんだ」
と言いながら、腕をつかんでくる。

「は?」

「一緒にお前の家に帰るんだ」

「……は?」

 とりあえず、もう一度、そう言ってみた。

「だって、俺はお前の婚約者様だからな」
と貴継は腕をつかんだまま、笑って言う。

 ところで貴方、いつ婚約者に格上げになりましたか、と思ったのだが、口に出す勇気はなかった。

 貴継の迫力に押されていたからだ。

「今、ちょうど帰る家がなくなったところだったんだ」

 いや、大変ご立派な身なりをされているのに、何故、家がないのですか、と思ったのだが、貴継はさっきの店の方を窓から見ながら、
「女に追い出されてな」
と言ってくる。

 ちょうど誰かが店の前で車に乗るところだった。
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