ケダモノ、148円ナリ
 見てはくれないのですか。
 私が小学生のときに図書館の本で学んだマジックを。

 人に見せるたび、
「で?」
と言われるのだが、いつかなにかの役に立つと信じている。

 ……今日ではないようだが。

 此処は自分が払うと言ったのだが、貴継が払ってくれた。

「店員に、百円玉を三枚にして見せても、足りないからな」

 時そばより早くバレる、と蔑まれる。

「だいたい、学生に奢ってもらうほど落ちぶれてはいない」
と貴継は、あの上から目線で言ってくるのだが。

 いやあの、貴方、今、その学生の住居に転がり込もうとしてますよね、と思ったのだが、やはり、口に出す勇気はなかった。

 そんなことを考えている間に、さっきのレストランの駐車場に引きずって行かれていた。

 食事前、此処に着いたとき、誰が乗ってんだ、これ、と思った車高の低い赤い外車に押し込まれる。

「狭いです」
と文句を言ったが、

「スポーツカーってのはそういうもんだ」
と流された。
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