ケダモノ、148円ナリ
 



 結局、明日実は自分の部屋で寝て、貴継たちは、リビングのラグの上で寝ることになった。

「あの、貴継さんのベッドでお二人がおやすみになればいいと思うのですが」

 キングサイズだし、と提案してみたのだが、貴継は、
「嫌だ。
 あれはお前と寝るために買ったベッドだ。

 最初に一緒に寝るのがこいつとか勘弁だ」
と言い張るので、毛布等を運ぶのを手伝った。

「では、おやすみなさい」
と男二人で寝る部屋を後にする。

「おやすみ」
と貴継は言い、顕人はなにか考えるように黙っていた。

 明日実は自分の部屋に戻ると、顕人からもらった指輪を棚に置き直す。

「……おやすみなさい、おにいさま」
と顕人ではなく、その指輪に向かって言った。

 蓋を開けて飾っているその指輪が月明かりに照らされている。

 これをいただいたとき、おにいさまに、婚約指輪などいただいて、結婚してくれとか言われたら、どんな心地だろうと思っていたけれど。
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