ケダモノ、148円ナリ
「おや、いつもは早い人事部長様が遅かったね」
貴継はロビーで大和に声をかけられた。
「女で失敗しないようにしろよ。
そこの先で明日実ちゃん降ろしたようだけど、俺が見てたみたいに、何人かは見てるよ」
「関係ない。
近いうちに、明日実とは結婚するから」
へー、と言った大和が言う。
「お前、なんでもすぐ突っ走るけど、明日実ちゃんの気持ちはちゃんと確認したの?」
「なにか物言いたげだな」
本当は大和は違うことを言いたいのではないかと感じて、そう問うてみた。
「貴継……。
今、専務になるのはやめろ」
「なんで知ってるんだ」
と言うと、もう結構広まっている、と言う。
「みんなは、いずれ、の話だと思ってるようだが。
でも、俺は、お前がそういう性格じゃないのを知っている」
貴継、と大和は真剣に呼びかけてくる。