柔らかな彼女

彼女の嬉しい決意

ふ、と彼女がワインのグラスをテーブルに置いてオレのほうに
向き直った。

オレの膝の上に右手を置いた。

「あのね、私、今、てまりに週に5日月曜から金曜まで入ってるの。
だから、たけと会える時間はすごく限られていると思うの。
金曜のバイトあがりから日曜の夜まで。でも私たちそれだけじゃ
足りないと思う。」

「オレも足りないよ。」

膝の上に置かれた彼女の手を上から包み込むように握っていう。

「だからね、ちょっと待ってて。
明日、てまりの大将にバイト辞める事話してくる。
次の人見つかるまでは、すぐには無理だけどきちんと昼間の
仕事だけにするから。
そうしたら、定時であがって、夕飯作って待ってるから
たけは仕事終わりに、うちでご飯食べていって。」

あまりにあっさり、てまりを辞めるという彼女に驚く。

「本当に、てまり、辞めてくれんの?」

「うん、だってたけ、私がお店でお客さんと話すの嫌でしょ?
もともとマンションは、親が残してくれたものでローンも残ってない
し、昼の仕事だけで十分生活できるの。
ちなみに、土日の競馬も月に五万ほどはプラス収支なんだよ。」

と優しく笑う。

この子は、どんだけオレを喜ばせてくれるんだ。
オレのものになって3日目で、オレとの時間のために
生活まで変えてくれる。
握っていた彼女の手を一度離し、肩を引き寄せ抱きしめる。

「ありがとう、さあや。大好きだよ。」

「私も、・・・たけ、だーい好き。」
と、ぎゅっとしがみついてくる。

< 21 / 36 >

この作品をシェア

pagetop