柔らかな彼女

急展開

偶然会った、東京競馬場から楽しい時を過ごし、2人でいった居酒屋でこのチャンスを
逃したくなくてした。人生初告白。

告白の返事は、言葉でなく”キス”だった。

彼女のほうから、柔らかい唇でキスをしてくれて、しばらく何がおきたか
わからず動けなった。でも、次の瞬間、激しいやつを返してしまった。

そして、今、彼女からもっと一緒にいたいと言われ部屋にまでお邪魔してしまった。

あまりの、急展開にちょっとついていけてない。

彼女のマンションは、3LDKのファミリータイプ。
ここに、一人なのかな?
リビングのソファに座って待っている。

カウンターキッチンから

「須藤さん?何飲みますか?コーヒー?お茶?
私、もう少し飲みたいからワイン飲もうかな?」

「俺も、ワインでいいよ。何か手伝おうか?」

「ううん、大丈夫。TVでもつけて。待っててください。」

少しすると、ソファの前のローテーブルにワイングラス、赤ワイン、お盆にチーズと
生ハムの盛り合わせ、トマトのサラダとチョコレートが並ぶ。

「いろいろ食べてきたから、簡単なものですけど。」

そういって、慣れた手つきでワインをあけ、グラスに注ぐ。
俺の手に一つグラスを渡すと、自分は俺の足元のラグに直接座り、こちらを見上げて
目の合図だけでグラスをチョンと合わせる。

こくこくっと、赤い液体をのどに流し込み、こちらを振り返って微笑む彼女。

あー、触れたい!この状態、体に悪いよ。

「さあちゃん?ごめん、俺、まださあちゃんのこと何も知らない。フルネームも
知らない、いろいろ教えて。」

「はい。

名前は、早坂 紗亜矢です。25歳。昼間は食品会社で働いていて、平日の夜だけ
てまりでバイトしているの。高校生の時に両親が事故で亡くなったので、ここに
一人で暮らしてます。
両親の共通の趣味が、競馬だったから、子供のころから毎週土日は府中に
行ってたの。
それで、今も土日はほとんど通ってます。
あんまり、若い女の子らしくないですよね?」

「ううん、そんなことないよ。
今日、あそこで会わなかったら、きっとこうなってなかったから
さあちゃんの趣味に感謝。ほんと、よかった。

俺は、須藤武仁。28歳。って、結構いろいろ、この二か月で話したよね。」

「はい。
あの…。わたしの名前、さあちゃんでなく、紗亜矢って呼んでもらえませんか?」

「いいの?」

「はい、そのほうが嬉しい。私、須藤さんの声、好きなんです。その声で
名前呼ばれたい。」

うわ、うれしいのは、こっちだよ。

「じゃあさ、さあやも俺のこと”たけ”って呼んで。そんで敬語なし。できる?」

彼女は、頬を染めてうなずき、上目づかいに

「うん。たけ、大好き。」

と笑った。うおー、破壊力すごい!
この、急展開、この後はどうしたらいいんだ?
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