イジワル副社長と秘密のロマンス

彼の格好良さに圧倒されるしかなくて、自分がどうしようもなくちっぽけな存在に思えてしまう時がある。

そんな時は、私でいいのかな、樹君ならもっと素敵な女性と付き合うことができるのにと、負のスパイラルに陥ってしまうのだ。

いろいろ考えてしまうけど……結局は樹君が好きだから、別れたくないから、私はそれを口に出すことはできない。

座りなよと再び促され、私は素直に返事をし、椅子に腰をおろした。


「急だけど、今夜空いてる?」

「……えっ?」

「一緒に夕飯食べたいんだけど」

「ゆっ、夕ご飯を私と!?」


驚きで声が上ずってしまった私に、樹君が眉根を寄せる。


「なんでそんなに驚くの? 彼氏が彼女をデートに誘ってるだけなのに……ちょっとくらい喜んでよ。誘いがいがない」


拗ねた口調で樹君がそんなことを言う。

その様子が可愛くて、思わず笑ってしまうと、樹君が不機嫌な顔のまま私の隣の椅子にどかりと腰を下ろした。


「ごめんね。もちろん嬉しいよ。本気で嬉しい! 夜はいつも社長とミーティングしてるから、今日もあるものだと思ってて、それでびっくりしただけだから」


社長と副社長だから当然と言えば当然なのかもしれないけれど、兄弟ふたりで一緒にいることも多い。


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