イジワル副社長と秘密のロマンス
お兄さんでもある社長の顔を思い浮かべていると、心の中に苦い予感が広がっていった。
私は慌てて樹君に向き直った。
「……えっ、まさか、社長も一緒に夕飯を?」
「そんなわけないでしょ? どう考えても、兄貴は邪魔。監視じみたことされるのは、仕事中だけでじゅうぶんだから」
「監視……やっぱり社長に監視されてるよね。なんか社長の視線が痛いなぁって思ってたんだ」
樹君と私の関係は公にしていないけれど、社長と宝さんは知っている。
私が本社で樹君と初めて顔を合わせたあの日、仕事とプライベートはきっちり分けると、社長に宣言した。
今のところ、そのことに関して文句を言われたりはしていないけれど、その代わりのように社長の視線を感じることが多々あるのだ。
たぶん、会長が私を樹君の秘書に指名したことも、社長は不満に思っているのだろう。
目に余ると判断したらすぐに私を秘書から外すべく、監視しているのかもと考えていたけれど……樹君も同じように感じているというのなら、私の考えは当たりだ。
最近では仕事中だけでなく休憩中も、樹君といると社長の視線を感じてしまうくらいだ。
こうやって一緒にいる所を見られたら怖いなと、そわそわしながら視線を彷徨わせていると、樹君が私の頭に手を乗せた。