イジワル副社長と秘密のロマンス
『俺が惚れてるから』
言葉からも、そして優しさを湛えた眼差しからも、自分が大切にされてることが伝わってくる。
私の気持ちも一気に膨らんでいく。
「樹君、好きだよ」
この気持ちを伝えたい。そう思ったら、自然と言葉にしていた。
黒目がちの瞳をほんの一瞬大きく見開いて、彼がほほ笑んだ。
「うん」
囁き返された低い甘い声が、耳をくすぐる。
鼓動が速くなっていく。身体が熱くなっていく。とろけてしまいそう。
遠くでぱたりとドアが閉まる音がした。
微かな音に反応し、身体を後ろに引こうとした時、バルコニーに明るい声が響いた。
「副社長! 探しま……」
走り寄ってきていた足音が止まった。
小道の途中で、星森さんがこちらに視線をとめたまま、固まってしまっている。
「……三枝さん?」
樹君の手は私の額に触れたままだ。
しっかり見られた上に、私たちから親密さを感じ取ったらしいことも、星森さんの表情からして明らかだった。
彼の手が私から離れると同時に、星森さんと目が合った。
私を見つめる彼女の瞳が鋭くなっていく。責め立てられているような気持ちになり、私は動揺と共にぎこちなく視線を伏せた。