イジワル副社長と秘密のロマンス
一通り伝え終え、届いていた配達物を社長に手渡してから、私は我慢できなくなり肩越しに後ろを見た。
ずっと楽しそうな話し声が後ろから聞こえていたため、それが気になって仕方がなかったのだ。
「一つだけ言わせてください! 私、星村ではありません!」
「え? 星村じゃないの? じゃあ誰?」
「星森です! ちゃんと覚えてください! こう見えて、私けっこう傷ついてるんですからね!」
言いながら、星森さんが樹君の腕を掴んだ。
傷ついているという割には、すっごく楽しそうな顔してるじゃん……なんて、星森さんに向かって心の中で文句を言ってしまう。
社長室の戸口付近には、樹君に星森さんに宝さんがいる。今日の午後はその三人と社長で外出していた。
樹君の腕を叩いて、星森さんがまた笑った。
この数時間でふたりが一気に仲良くなってしまったように見えてくる。
ゆらりと首をもたげた嫉妬とほんの少し痛みを含んだ寂しさに表情を曇らせてしまうと、私の隣に宝さんが並んだ。
「今日はもう社長も副社長もお帰りになられるそうなので、三枝さんもいいですよ。金曜日ですし、たまにはゆっくりしてください」