イジワル副社長と秘密のロマンス

カタログの上部につけられた付箋にかかれている店舗名に気付いて、私は少しだけ目を見開いた。


「あ、はい。表参道店だけカタログが他より一種類多かったのをすっかり忘れてしまっていて」

「私、帰りがけにお店に寄って渡します」


申し出ると、今度は男性社員が目を見開いた。


「えっ!?……いやでも……そうですよね。表参道店はそんなにここからそんなに遠くないし、直接手渡しできますよね……頼むのは悪いんで、それに自分のミスなんで、俺が行きますよ」

「大丈夫です。少し前まで働いていたお店ですし、実は時間があったら顔を出してほしいって店長から言われているんです。だからこれから行って渡してきます。ついでですから、気にしないでください」


男性社員は迷っている様子だったけれど、私が行ける理由を重ねていくと、心が決まったのか深く頭を下げてきた。


「言葉に甘えさせてもらいます。よろしくお願いします!」

「はい。確かに預かりました」


差し出されたカタログを受け取り、私も頭を下げ返した。

改めて表紙を見る。少女のように無邪気に笑う津口可菜美に見つめられ、思わず苦笑いを浮かべてしまう。


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