イジワル副社長と秘密のロマンス
不安が顔に出てしまっていたらしい。慌てふためいている男性社員に対して、私は勢いよく首を振った。
「大丈夫です! 任せてください!」
樹君が私との約束を優先してくれたとしても、社長や星森さんのいる前で、彼と堂々と肩を並べて会社を出て行くことは遠慮したい。
どちらにしても、彼から連絡が必ず来るはずだ。
会えるのならば、先に社を出て、カタログを渡して店長と話をして、少し時間を置いてから彼と合流した方が良いような気がする。
私は預かったカタログを両手で抱きしめてから、男性社員に軽く頭を下げ、歩き出した。
+ + +
「わぁっ。三枝さん、来てくれたのね」
店に入り、懐かしさに包まれ足を止めた私へと、さらに懐かしい声がかけられた。
「店長、ご無沙汰しています」
「ごめんなさいね。忙しいところ呼び出してしまって」
「いえ。私の方こそ、電話もらってから、来るのが遅くなってしまって」
ゆるりと首をふると、店長が店の入口の方を気にしてから、スタッフルームを指さした。
「ここではなんだし、あっちで話しましょう」
意味ありげな店長の行動に、ついついつられてしまう。