イジワル副社長と秘密のロマンス

入口に近くでお客を迎え立つマネキンへと目を向け、そして閉店間際ということもあり客もまばらな店内を見回してから、私は店長を追いかけて歩き出す。

スタッフルームに入りまず最初に、持っていたカタログを店長に手渡した。

ひとまず役目を果たせたことに安堵していると、店長がカタログをぱらぱらと捲っていた手を止め、微笑みながら私を見た。


「どう? 本社は」

「大変です……でも楽しいとも思ってます。まだまだ覚えきれてないこともたくさんあって、右往左往してしまうことばかりですけど、なんとか食らいついていきたいと思っています」

「やっぱり場数がものをいうと思うから、失敗も勉強だと思って頑張ってね」


言い終えると、店長が思い出し笑いをした。どうしたのかと目で訴えると、店長はまた笑う。


「スタッフみんなで三枝さんを羨ましいって言ってたのよ」

「私を、ですか?」

「そうそう。副社長の秘書に就いたんでしょ? イケメンすぎるって、みんなで興奮してたの。毎日あの顔を拝めるのは、かなり羨ましい」


ここでも樹君の話が飛びだしてきた。くすぐったいような気持ちになりながら、笑みを浮かべて頷き返した。


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