イジワル副社長と秘密のロマンス

本社のことや、私の仕事の話とか、樹君のこととか、和やかに話をしていると、突然、店長の声のトーンが落ちた。


「あと、三枝さんに話したかったことがあってね」


本題に入ったことを感じ取り、緊張感が肌を走った。


「……何でしょう」


店長が困ったような顔で私を見た。言い難そうに表情が歪んだから、私も息を飲んでしまう。


「あのね……少し前に、ちょっと風変わりなお客さんが来店されて」

「風変り、ですか?」


例えばどんなと言葉を続けるよりも前に、答えが返ってきた。


「店の中に入ってきたのは一回だけなのだけれど、ショーウィンドウ越しに目を血走らせて店内を窺っている男性の姿を、少し前から頻繁に見かけていてね……」


それは風変りという言葉だけで片付けてしまっていいものなのだろうかと、ちょっぴり恐ろしくなってくる。


「その男性は何を見ているんですか? スタッフの誰か、とか?」

「二週間前くらいだったかしら。男性が店の中に入ってきたから、私、聞いたのよ。何をお探しですかって……そうしたらね、三枝という女性スタッフはお休みですかって聞かれて」

「えっ!? そ、それって、私のこと、ですよね?」



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