イジワル副社長と秘密のロマンス
樹君の威圧的な眼差しはやっぱり忘れられなかったらしい。すぐに袴田さんは樹君に向かって「お前、あの時の!」と声を上げ、顔を盛大に引きつらせた。
「今すぐ千花から手を離して。イラつくから、彼女に気安く触んないで」
「なっ、なにを偉そうに! それに僕がお前に従う理由はない! 僕と三枝さんの問題なんだ! 無関係な君に首を突っ込んでもらいたくない」
「無関係じゃない。だって俺、千花の彼氏だから。自分の彼女が怪しい男に絡まれてたら、首突っ込むの当然だよね」
樹君が攻撃的に告げた事実を受け、袴田さんが凍りついた。
「お前が、三枝さんの、彼氏? まさか、そんな」
衝撃が怒りへと変化してしまったのか、私の腕を掴む袴田さんの手の力が一気に強くなっていく。
じわりと広がった痛みに、私は顔を歪めた。
「僕は認めない。お前は三枝さんにふさわしくない! 彼女にふさわしいのは――……」
袴田さんはその先を言うことができなかった。口から発せられたのは言葉ではなく、苦しそうな呻き声だった。
樹君の右手が、袴田さんの胸倉を掴み上げている。
「何? 自分だって言いたいわけ?」