イジワル副社長と秘密のロマンス

樹君の威圧的な眼差しはやっぱり忘れられなかったらしい。すぐに袴田さんは樹君に向かって「お前、あの時の!」と声を上げ、顔を盛大に引きつらせた。


「今すぐ千花から手を離して。イラつくから、彼女に気安く触んないで」

「なっ、なにを偉そうに! それに僕がお前に従う理由はない! 僕と三枝さんの問題なんだ! 無関係な君に首を突っ込んでもらいたくない」

「無関係じゃない。だって俺、千花の彼氏だから。自分の彼女が怪しい男に絡まれてたら、首突っ込むの当然だよね」


樹君が攻撃的に告げた事実を受け、袴田さんが凍りついた。


「お前が、三枝さんの、彼氏? まさか、そんな」


衝撃が怒りへと変化してしまったのか、私の腕を掴む袴田さんの手の力が一気に強くなっていく。

じわりと広がった痛みに、私は顔を歪めた。


「僕は認めない。お前は三枝さんにふさわしくない! 彼女にふさわしいのは――……」


袴田さんはその先を言うことができなかった。口から発せられたのは言葉ではなく、苦しそうな呻き声だった。

樹君の右手が、袴田さんの胸倉を掴み上げている。


「何? 自分だって言いたいわけ?」



< 133 / 371 >

この作品をシェア

pagetop